「共通テストの複数資料問題」

「共通テストの複数資料問題」

2021年05月20日

こんにちは。京都書房編集部のCです。
大型連休が終わり、早くも近畿地方では梅雨入りとなりました。6月になれば、会社近くの藤森神社の紫陽花まつりも始まるようです。

さて今回は、共通テストなどで出題される複数の資料を用いた問題についてまとめてみたいと思います。

2021年度の共通テスト第1日程・第2日程では、以下の題材が出題されました。
第1日程・第2日程の全8題のうち、「◆」をつけた5題が複数のテキストを含む出題でした。
※()内に示したのは、設問中に引用された資料です。

〈第1日程〉
◆第1問 香川雅信『江戸の妖怪革命』 (芥川龍之介「歯車」)
◆第2問 加能作次郎「羽織と時計」 (宮島新三郎「師走文壇の一瞥」)
◆第3問 『栄花物語』 (『千載和歌集』)
◆第4問 『欧陽文忠公集』/『韓非子』

〈第2日程〉
第1問 多木浩二『「もの」の詩学』
第2問 津村記久子「サキの忘れ物」
第3問 『山路の露』
◆第4問 「墨池記」 (『晋書』)

2020年1月に発表された大学入試センター発表の資料では、以下のように国語の問題作成方針が示されていました。
(出典:大学入試センターホームぺージ https://www.dnc.ac.jp/news/20200129-01.html

「言語を手掛かりとしながら,文章から得られた情報を多面的・多角的な視点から解釈したり,目的や場面等に応じて文章を書いたりする力などを求める。近代以降の文章(論理的な文章,文学的な文章,実用的な文章),古典(古文,漢文)といった題材を対象とし,言語活動の過程を重視する。問題の作成に当たっては,大問ごとに一つの題材で問題を作成するだけでなく,異なる種類や分野の文章などを組み合わせた,複数の題材による問題を含めて検討する。」

この方針は、2022年度の共通テストにおいても引き継がれるようです。
(参考:大学入試センターホームぺージ https://www.dnc.ac.jp/kyotsu/shiken_jouhou/r4.html

また、平成30年告示の新学習指導要領にも、各科目において「複数の資料」や「複数の作品」をもとに自分の考えを深めたり、解釈を深めたりするといった内容が書かれています。
(参考:文部科学省ホームページ https://www.mext.go.jp/content/1407073_02_1_2.pdf

以上のように、今後はいっそう複数の資料を活用した学びが求められ、入試問題でもその傾向が反映されることが予想されます。

◇◇

では、資料の組み合わせには、具体的にはどのようなものがあるのでしょうか。
まずは2021年度の共通テストの問題から分析してみます。

〈第1日程〉
第1問 香川雅信『江戸の妖怪革命』 (芥川龍之介「歯車」)
→①評論×小説(評論の主張を踏まえた小説の一場面の解釈)
第2問 加能作次郎「羽織と時計」 (宮島新三郎「師走文壇の一瞥」)
→②小説×書評(文学作品とそれに対する批評を読む)
第3問 『栄花物語』 (『千載和歌集』)
→③和歌を含む物語×和歌の別出典(二つの出典を踏まえた和歌の解釈)
第4問 『欧陽文忠公集』/『韓非子』
→④漢詩×評論(同じテーマについて書かれた二つの問題文から要点を読み取る)

〈第2日程〉
第4問 「墨池記」 (『晋書』)
→⑤故事×故事(王羲之に関する故事と、それに関する王羲之の発言)

これらを見ると、①・②のように一つの資料を踏まえた上でもう一つの資料を解釈するものと、③~⑤のように同じテーマや和歌などについて複数の資料をもとに解釈したり、比較したりするものとにざっくりと分けられるように思います。

ただ、1年目の共通テストのパターンが固定化するとは考えづらいため、今後①~⑤以外の組み合わせで様々な問題が出題されると考えられます。
たとえば、次のようなものです。試行調査で出題された組み合わせも挙げています。

・評論×評論、評論×随筆(同じテーマについて、異なる視点から書かれているもの)
・小説×小説(同じ作品の複数の箇所からの引用)
・詩×随筆(同じ作者によるもの)
・詩×解説文
・古文×本歌取り・引用などの原典
・和歌を含む古文×歌論書
・古文×古文(同じテーマについて書かれた評論や随筆)
・古文・漢文×古典作品に関する評論(現代文)
・漢文(故事)×訳注

このほか、上で引用した共通テストの問題作成方針によれば、実用的な文章が出題される可能性もあります。

教科書や問題集などでも、複数の資料の読み取りを前提とした教材が増えています。
授業でこれらのような題材を扱われることもあるかと思いますが、ここに挙げたようなパターンを教材研究や授業の参考にしていただければ幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

『解法と演習 共通テスト対策国語問題集 総合編』では、試行調査や2021年度の共通テスト問題の形式にとどまらず、様々な題材や題材の組み合わせを用いた問題を収録しています。
ぜひ一度ご覧ください。

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